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今夜の番組チェック

 

 

(2人の出会い)

カツ、カツ、カツ、カツ・・・
無機質なヒールの音がスタジオの廊下に響く。
そして、独り言のようにも聞こえる女の声が続く。

女「いっけなーい、もうすぐ打合わせが始まっちゃうわ・・・」
女「まったく・・・このスタジオの構造って、どうなってるのかしら」
女「それよりも、今度の企画・・・なに?」
女「読者参加型企画のゲーム化・・・?」
女「妹が、じゅう・・・12人・・・巫山戯た話」
女「はぁ・・・所詮、オタク向けの企画よね」
女「そ、れ、で・・・あたしの役は・・・っと」
女「ええっと、桑谷、桑谷・・・っと」

自分の名前ことであろうか、女は頻りに桑谷と呟いた。
スタジオへの歩みを急ぎ、手にしていた出演者が記載されているメモを見ながら。

な「あったわ、桑谷夏子・・・か・・れ・ん・・・」
な「ふぅーん、可憐ちゃんねえ・・・」
な「後は・・・他の出演者は誰かなぁ・・・」
な「へぇ、由衣ちゃんも出るんだ」
な「咲耶ちゃんなんて、由衣ちゃんの役らしくて、可愛い名前ね」
な「それから・・・か・・ほ・・・」
な「望月・・・さん・・・ねぇ」
な「知らないなぁ、どんな女の子なんだろう?」
な「まあ・・・仲良くなれたら・・・いいかな・・・」

桑谷にとって、可憐役は今までの仕事と同じ筈であった。
監督の指示を得て、その役を演じれば良かったのだ。

ねえ・・・なっちゃん・・・
知ってる・・・運命って言葉・・・

その時の桑谷にとって、その言葉の意味を知る由はなかった。