女「はあ、はあ、はあ、はあ・・・」
女「ふえーん。みんな何処なのかなぁ・・・」
女「これじゃあ、会議に間に合わないよぉ・・・」
情けない声が階段の下から聞こえてくると、
茶色く染めた髪を揺らしながら女が昇ってきた。
女「ホントにみんな、何処にいるんだろ・・・」
女「またみんなに言われちゃうのかなぁ・・・」
女「『もっちーはドジねぇ』って・・・」
「はあ・・・」と大きく溜息をつき、自分が昇ってきた階段を見据た。
そして、自分の足下に視線を移し、小さな歩幅で廊下を歩き始めた。
心ここになく、別に何かを思うかように、静かに俯きながら。
も「どうして、わたしって、こんななのかなぁ・・・」
人気のない廊下に望月の独り言が小さくこだました。
カツ、カツ、カツ・・・
薄暗い廊下の曲がり角、望月の行く先から、不意にヒールの音が聞こえた。
も「・・・きゃっ」
それは、望月が顔を上げようとした瞬間だった。
衝撃と共に望月は前のめりとなり、右膝から廊下へと倒れ込んだ。
鈍い痛みが同時に望月の身体を襲った。
(また誰かとぶつかったんだぁ・・・わたし、やっぱりドジなのかなぁ・・・)
望月は霞みゆく視界のなかで、音の主が履いていたヒールを見るのだった。
女「あなた・・・大丈夫?」
も「・・・あっ、は・・い・・・」
女「そう。ごめんなさいね。あたし、急いでたから」
も「いえ・・・わたしも・・・」
女「あなた、立てる?」
ぶつかった相手の女から、望月にそっと手がさしのべられた。
(続く・・・)