(再会)
カン、カン、カン、カン・・・
静かな廊下に今まで以上のヒールの音が木霊した。
ガチャッ
防音が施された扉を開け、髪の長い女が入ってきた。
女「おはようございます」
女「・・・って、ごっめーん。遅れちゃったぁ?」
女は愛嬌よく話し始めるとスタジオを一瞥した。
顔を見知った小林や水樹の姿が見られた。
小「あっ、なっちゃん。遅いよー」
水「お疲れさま。でも、みんな揃ってないから大丈夫よ」
桑「そうなの?あたしが最後かと思ってたわ」
小「もっちーがまだなんだよ」
桑「もっ・・・ちー・・・?」
桑(1、2、3・・・)
桑谷は再びスタジオを見渡し出演者の人数を数えた。
桑(1人・・・足りないのか・・・)
水「そうね、なっちゃんは知らないかもしれないわね」
水「望月久代さん。もっちーって呼ばれているのよ」
桑「・・・そう」
桑「それで・・・どんな子?」
小「優しくて、面白い子だよ」
水「くすっ、なっちゃんもきっと気に入るわよ」
桑「何よ?」
水「何でもないわよ・・・」
桑「そうなの?」
水「そうよ」
桑谷が水樹の微笑みに釈然としない思いを抱きながらも、
スタッフに促され席に着こうとしたときだった。
桑(そういえば・・・あの子・・・どうしたのかしら・・・)
桑谷は自分が入ってきた扉をそっと見つめた。
そこには誰もいる筈がなかった。