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由美子の視点

小「あれって・・・なんだったの」

”答えのないものが 多くなることなのかな・・・”

ちょうどCDから『LOVE & PEACE』が流れる頃、由美子の頬は再び熱くなった。
昼間のキスを思い出して、誰もいない自分の部屋のベッドに顔を埋める。

小「あ、あはは、ばかだな。そんなあるわけ・・・」
小(でも、ほんとにこれから私たちどうなるんだろう)
小(みんなと離ればなれになっちゃうの?なっちゃん・・・)

由美子の頬をかすかな涙が流れた。
思えば幸せな1年だった。Pritsとして同じ年頃の女の子たちと
ユニットを組めて。
シスプリラジオ、Gsラジオと4人で楽しい時間を過ごした。
そして時に仲の良い桑谷と望月のふたりに嫉妬したりもした。
でも、それが、いままだ築いてきてものが前ぶれもなしに消えていこうとしている。

”LOVE & PEACE 
あの日頑張ったから今があると伝えたい・・・”

「なっちゃん・・・離れたくないよ・・・」
歌のサビが流れる頃、涙が染みこむ枕に顔を埋め由美子は眠りについた。

「ひどい顔・・・」
翌日由美子は目が覚めると泣きはらして真っ赤な目元を見つめてつぶやいた。

「仕事に・・・行かなきゃ」
じゃれつくコロをひと撫でして由美子は家を出た。
この世界で仕事をしている限り、離ればなれになるわけじゃない、でも
もうあの4人でいっしょに何かをする時間はもう来ないんだ。
昨日の夜に拭ったはずの涙がまた浮かびそうになる。

久しぶりのGsラジオでの出番らしい・・・新しいシリーズになってもう私たちの出番は
ないかもしれないと思っていた。
だからその話があったときは心が躍った。
そして、言葉にならないドキドキも。
(なっちゃんと会ったらどんな顔しようかな・・・)

会いたくて仕方ないのになんだか恥ずかしい気がしてしょうがない。
そんなとき電話が鳴った。マネージャーからだった。
「Gsラジオはコメントだけみたい。せっかく楽しみしてたのに・・・ごめんね」

私は平静を装ったままマネージャーに返事をして、そのまま午前の仕事に
向かった。
当日の放送はなんだか不自然な私のコメントが100回記念を飾っていた。
一方の奈々ちゃんはクリスマスとお正月の溜取り録音の回を嬉々として
語っていた。そういえば私、あのとき思いっきり酔っぱらって・・・
ラジオを聴きながら少しくすっと笑ってしまった。
あの時からもう1年。もう戻ってこない時。

けだるい日々のなかで

みんながあたしたちを・・・Pritsを待っている。
そう信じている。

Prits自然.消滅から約半年。あたしともっちーだけの放送は正直しんどかった。
別にもっちーとのコンビが不安ってことじゃなくって、ある意味お笑い風の
放送を常に続けていくのは決して簡単じゃないってこと。
パピーズの子たちを悪く言うつもりはないけど、自分達と対等な立場じゃ
ないからやっぱりノリが悪い。

「なっちゃん、どうしたの・・・なっちゃんには久代がついてるんだから」
「も、もっち・・・」
録音の直後、少し暗い雰囲気のあたしにもっちーが抱きついてきた。
ノースリーブの肌と肌、少し汗ばんだ腕がからみあう。
誰もいない廊下でしばらくあたし達は抱き締めあった。
「もっちー、も、もう・・・いいよ。汗が・・・それに、だ、誰か来ちゃうよ」
「まだだーめ!なっちゃん、腰がひけちゃってるよ。もっと胸と胸を
押し付けて・・・」

かわいい・・・あたしはどんどんともっちーにはまっていく。
初めて出会った時から想像できないくらいもっちーは変わっていった。
あどけない表情からとはうらはらな大胆な子になっていたもっちーに、
次第にあたしのほうが虜になっていた。
胸が小さいのがコンプレックスだけど、もっちーだとなんでも許せて
しまいそうになる。
Pritsのことも、ラジオのことも、あたしはひたすら忘れてもっちーに溺れていった。