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いま、ここにいることが不思議。

水「今夜は帰りたくない・・・」
桑「えっ?」
水「ううん、なんにも言ってないよ」

奈々ちゃんは普段とはうってかわってはにかんだ表情をしていた。
あらためて奈々ちゃんはかわいいな、と思いつつちょっとやさぐれてしまいそう・・

桑「ってゆーか、今さら帰りたいっていっても帰れないっつーの!!」
水「・・・聞こえてたの?やだぁ、なっちゃん」
奈々ちゃんは横目で恥ずかしいそうにあたしを見ている。

すっかり暗くなった車窓に、電灯(あかり)のともった住宅街が通り抜けていく。
私たちは今、箱根行きのロマンスカーの中だった。
夜遅く着き、翌朝駆けるように東京へ帰る超特急のお泊まり。
あたしが奈々ちゃんのメールの後にとった行動だった。仕事の終わった奈々ちゃんを
強引に連れてきてしまった。
悪いことしたかな、と思ったけど・・・奈々ちゃん、うれしそう。

水「ちょっと眠くなっちゃった」
桑「疲れたでしょ。いいよ、寝てて」
水「いいの?悪いよ・・・」
桑「あたしが不眠症なのは知ってるでしょ。着いたらひっぱたいて起こすよ!」
水「うん、おやすみ」

あたしはすっかり闇に染まった窓の外を見ながら、そっともたれかかる
奈々ちゃんの手を握りしめた・・・

・・・パチっ!(え?なんか叩かれてる?)
アナウンス「・・・終点の・・・です。ご乗車、ありがとうございました」
水「なっちゃん、着いたよ」

あれ?いつの間にかあたしも寝てたんだ。
重たいまぶたを開けると楽しそうにあたしに2度目のビンタを待ち構える
奈々ちゃんの顔。

桑「そんなに何度も喰うかっつ−の」

あたしは奈々ちゃんの振りかざした手をとって反対にデコピンをかました。
お互いがくすっと笑いだした。タイミングもぴったり。
Prits半分復活!

桑「さ、さっと行くよ!もっちー達が待ってるんだから」
水「ねぇ、なっちゃん」
桑「何よ、まだなんかあるの、この子は?」
水「さっき、私の手、握ってたよね?」
桑「ば、バカ言わないで!寝ぼけてんじゃないの!!」
水「そういうことにぃ、しといて、あ・げ・る、ね。両刀使いの桑谷さん!」

箱根の改札を抜けた、温泉街。もっちー達が待っている。

望・小「まってたよ!奈々ちゃん、なっちゃん!!」
水・桑「お待たせ」
あたしたちを待ってたふたりの声。
今日、この夜にみんなが集まった偶然。大切にしたい。